2008年03月20日

ペレアスとメリザンド チューリヒ歌劇場 メスト

年をとるにしたがい、ドビュッシーは聴く機会が増えることはあっても、今まで減ることはなかった作曲家です。「ペレアスとメリザンド」は、特にDVDで視聴するようになって、機会がぐっと増えたオペラのひとつ。(カラヤンのLPで初めて聞いたときは、最後まで聞きとおせなかった)

このオペラに限りませんが、ドビュッシーの代表作はどれも、感傷を排している点、乾いている点で、邦楽とどこか共通点があるように思います。モーツァルトからワグナー、マーラーまでは感情の振れ幅が極大化する方向に歴史が進んでしまっているようですが、ドビュッシーが登場して急に大人になる。達観したような大人の音楽になる。

それまで自分の内側にむかっていた視線が、180度転換して外側にむかって開かれた、そんな印象ではないでしょうか。

そして、少なくともオペラに関しては、それ以後に、これほど熟達した、精神的に成熟した、完成度の高い作品は現れていないように思います。

幻想的でありながら、きわめて知的な作品。ひょっとすると、現代人がもっとも親近感を感じられるオペラかも知れない。

このDVDについては、現代の不条理劇的な演出の効果に触れる必要がありますが、それはまた改めてエントリーします。(それと小沢征爾の後任でウィーン国立歌劇場の監督になる指揮者についても。)

私のもっとも好きなオペラの一つなので、今後このブログで5〜10回は登場する予定の作品です。

次に登場するときには、主にメーテルリンクの原作と、このDVDの演出についてコメントする予定です。

posted by K at 22:31| Comment(3) | TrackBack(0) | ドビュッシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月19日

ラ・フォル・ジュルネ2008 Yahooの選曲など

ラ・フォル・ジュルネ2008」のチケット発売開始ということで、ヤフー・トップページから、特集サイトへリンクが出ていました。

トップページにクラシックの話題が出ること自体、異常事態に近いかも知れないので、このヘンな名前の音楽祭は、いよいよ市民権を得つつあるのかも知れない。今年は「シューベルトとウィーン」というテーマらしい。

特集サイトを見て、面白かったのは、ヤフーチケットの選曲。以下の曲が演奏される予定の公演、という構成になっている。

・「魔王」 を演奏する予定の公演
・「野ばら」  〃
・軍隊行進曲  〃
・交響曲第7番「未完成」  〃
・ピアノ五重奏曲「ます」  〃
・12のレントラー   〃
・アルペッジョーネ・ソナタ  〃
・弦楽四重奏曲「死と乙女」  〃
・「アヴェ・マリア」   〃
・交響曲第8番「グレート」  〃
・歌曲集「冬の旅」   〃

シューベルトの日本で人口に膾炙した曲を、リサーチしてランキングにしたかのよう。この有名な曲をすべて演奏するラ・フォル・ジュルネもすごい(やっばり言いにくい)。クラシックの聴衆を広げるというのも、音楽祭の趣旨らしいので、この選曲と紹介方法はもちろん正しいのですが。

魔王や野ばらは、今でも小中学校の教科書に載っているのでしょうか。きっと、のっているのでしょう。のっていてほしい。

私の好みでは、「即興曲」「最後のほうのピアノソナタ」「弦楽5重奏」「ピアノ3重奏」などを付け加えると、ときどき聞きたいシューベルトリストが出来上がります。それとアバドとウィーンフィルによるミサ曲も。

あらためてリストを見ると、「死と乙女」や「冬の旅」のような、有名とはいえ、異常に暗くて激しい曲がきちんと入っているのが、なんとなくうれしい。

話題になっているのを横目でみながら、去年までは行ってない。今年は行ってみようかしら。
posted by K at 14:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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