モーツァルトの全舞台作品。輸入盤のDVDセットが発売されてすぐに買ったが、まだ1/3ぐらいしか見ていない。それでも、やはり、このプロジェクトの衝撃は大きかった。
この作品群からは、これまで主に2つのことを感じとりつつある気がします。
ひとつは、作曲家モーツァルトのスケール(幅と深み)について認識を新たにすること。ふたつ目は、オペラにまつわるヨーロッパ文化の蓄積を感じること。
モーツァルトは私にとって、晩年のシンフォニーやピアノ協奏曲、5大オペラ、管楽器の協奏曲、バイオリンやピアノのための小品、宗教曲の傑作群などで、すでに充分に偉大な作曲家でした。
音楽で直観させる世界観のようなもの。それは、言葉だけを通じて、文学や哲学だけを通じて世の中を理解しようしがちな、えてして厭世的になりがちな感傷的なタイプの人には、全く異なる場所から快い刺激を与えるものだったのではないでしょうか。
しかし、このプロジェクトの作品群は、それらを超えて、もっと官能的に、もっとストレートに肯定的なモーツァルトを表現しています。これまでの私の見方は、主に晩年の作品のイメージで占められていたことに気づきました。晩年の傑作にくらべて劣る、などという評論家のことばを鵜呑みにして、それらの作品を聴かないでいるのは、まさに重大な損失です。
ふたつめ。
22のオペラ作品の演出には、前衛的なものが少なからず含まれています。というより、全ての作品でなんらかの新趣向が試みられており、オーソドックスなものはないと言っていい。その貪欲な姿勢、いわば、モーツァルトのテキストを味わい尽くしてきた上に、更に新しいものを注ぎ込もうとする態度。
さらに蛇足ですが、1ヶ月ぐらいの間に、全22作品を上演してしまうエネルギー。世界中から観客を集められるといっても、200年前のテキストを基にして、これだけのことが可能だとは。
このブログでは、年内に22作品すべてをレビューする目標(希望)を立てています(とりあえず)。奇抜な演出に関する私なりの解釈も含めて、先行して書かれたものも参考にしながら、順次アップしていく予定です。
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